厚いけど一気読みしてしまそうな予感が満載だったので、「今、それどころじゃないだろう!」と自分に言い聞かせて寝かせておいたが、とうとう手を出した。
まあ、発売されてから古本屋で入手するまでも相当おいてるけど。
閉鎖社会な舞台設定、よい…好みである。
特殊な環境下ということで、登場人物たちの変な名前も結構気にならない。
ま、普通の社会から来た設定の主人公が「珂允」なんて変な名前なのはどうかと思うが、もう他の麻耶作品でなれちゃってるのか、ま、いいか、と流せてしまう。
なにかと複線らしい複線が張られていているのも大変わたくし好み。
さらに、それらの複線がきれいに回収されていて恐悦至極でござる~。
ヒントも親切でわかりやすいし!
しかし、出てきたメインの人々、最終的には結構悲惨…。
この作品が発表されてすぐの時代に読んでいれば多分、その辺は特にどうとも思わなかったと思うのだが、最近「救いがない感じ」のラストは「厭だなあ」と思うようになってきた。
トシくったってことなのか、やっと人間らしい感情がもてるくらい成長してきたということなのか…。
あー、でも、メルカトル鮎初登場時から、「死んじゃうのってやっぱ厭だなあ」と強く思って、その後長らく麻耶作品を敬遠していたのだった。
麻耶さんは結構メインキャラクターに容赦ないところが…なんだか少ししょんぼりする。
その容赦なさがクールってことなのか?
まあ、変名だらけだったり設定が懲りすぎていたりでリアリティが薄いところが、作品世界をすごく「作り物」っぽく感じさせてくれるので、「しょんぼり度」が少なくてすんでいるんだろうなと思う。