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じゆうちょう。

美術展やら食べた物やら気の向くままにかいてます。

「江神二郎の洞察」有栖川有栖(東京創元社)

 
主要人物四名が大学生のせいか、ちょっと青春小説なかほり…(いや、コレが森博嗣ならそんなカホリしないな…いやいや、森博嗣のGシリーズにも青春小説のカホリを嗅いでる人もいるのかもしれないか…。)
 
基本、青春小説風味が青春時代(←いつだよ?)から苦手な自分であるが、有栖川さんのミステリが読みたいがため、昔は「そこには目をつぶって」という気持ちで、初期のこのシリーズを読んでいた。約20年前。わ!20年だって!!
 
ゲストとのやりとりも主要人物同志のやりとりも舞台も道具立ても何から何まで、ものすごく青春なかほり。
でも、このシリーズのこの初短編集、そのかほりが全くイヤではない。
 
とうとう自分が青春時代から遠のき過ぎて、そこはもう気にならなくなったのか?
 
それとも作者さまは、更に円熟味を増したその腕で、「青春小説なかほり」からワシが苦手な「どうにも気恥ずかしくてムズムズする成分」だけを器用に薄めて下さったのじゃろうか?
 
ますますワタクシ好み。
 
まあ、もう、各題名だけでも、いちいち素敵でニヤニヤするくらい、元々好みなわけですが。
 
だって、一本目から「瑠璃荘事件」。鮎川哲也さまですよ。
 
なに?トランプは出てくるの?!
 
出ません。そういう物を無理矢理出すようなことはしません。
そんなところも好きだ。
 
そして主要人物四名がみんな、推理小説研究会所属の名に恥じぬ頭脳を有しているところも好ましい。
 
しかも、この人達のお互いへの気遣いが本当に相手本意でその匙加減が絶妙で、グッとくる。
 
こんなに人に配慮できる大学生、ゴロゴロいるんかな?
 
や、きっと作者さまの周囲には類トモでたくさんいらしたのだな。
 
が、しかし、こんなカッコよい探偵役はいるのじゃろうか?
しかもダブりまくりとはいえ、まだ社会人経験のない大学生。
 
カッコつけてるわけでもないのにカッコよい。天然でカッコよい。
 
シリーズ初期を読んでいた時代、探偵役の江神さんは自分よりもぐん!と年上だったので、その老成した性格もカッコよさも何の引っ掛かりもなく受け止めていたのだが…
 
出会いから約20年、こっちが老成しちゃったので、「この若さでとのオトナ度でこのカッコよさ!凄すぎるよ!江神さーん!」て感じだ。
 
で、まあ、こんなに作者さまを好き好き言っていながら、今更にやっとデビュー作をこの本で読んだ。
満足〜。
 
結構大胆なトリックでビックリ。
 
昔はフーダニットが好きすぎで、このシリーズ一作目をウットリしながら読んだものだが、この短編集を読んで、近頃ホワイダニットも非常に好きになっていることを改めて確信。
 
やっぱ、トシのせいか!!
 
や、おかげでたのしみが増えたのだから文句言うな、って感じか。