小学校4年生になる前、9歳までにゴッホの自画像は画集でみたことがありした。
画家トモのゴーギャンと同居、ケンカ、耳切り、入院、最期のエピソードも知っておりました。
4年生になった新学期、新しくやってきた図工の専科のその先生の顔はゴッホの自画像にそっくりだったのです。
ぎゃーっ。
よりによって図工。
日本人なのに彫りが深いゴッホ似の図工の先生。
笑いの前に不気味さが感じられたものです。
その先生、いつも難しい顔をしてます。
生徒が騒ぐとすっごい怖い声で怒鳴る。
めちゃめちゃ怖い。
みんなビビッてました。
私も脳裏にはゴッホのクレイジーエピソードが満載で別の意味でビビッってましたが、3年生の時に決意してしまった「図工クラブに入る」という野望について勇気を出して実行しました。
先生は絵についていろんなことを知っていてイロイロ教えてくれました。
話をしてると1回は「油絵を描くといいよ。でも中学生からがいいのかなぁ。うーん」と勝手にオススメしつつ躊躇するようなことを言い出します。
もちろん、小学校卒業までの3年がかりのこの呪いはしっかり私にかかって、中学から油絵を描き始めます。
先生は個展とかしたりして、案内状とかくれたので画廊へみに行きました。
そこには、すごく淡く優しい色合いの大きな抽象画が何枚も並んでいました。
おお、ゴッホの描く絵とは全然ちがう。
まあ、この先生、本当は怖くはないのです。
電動のこぎりとかキケンな物を使っている授業中に騒いでる生徒なんぞに、ケガをしないようにキツく注意をしてるだけなのです。
まあすごく無愛想だけど。
おもしろく工夫できてる生徒の作品とかたくさんほめてくれるのです。
「模写をしてみなさい」
と言われて、ジョルジュ・ド・ラトゥールの「悔悛するマグダラのマリア」を水彩で描いてみたら、額に入れてくれて保健室の前の廊下に飾ってくれました。
東京都は基本10年経つと先生は違う学校へ異動します。
大学2年の時、家に先生がきてくれました。
ラトゥールの模写他、授業で描いた作品で参考作品として小学校に保管されていた絵を数枚、持ってきてくれたのです。
何年か前、小学校の図工の先生をしに行った時に自己紹介がてら、自分の小学生の時の絵を持って行って教室でみせました。
初回で心配気に教室後方で見学していた担任の先生が
「みなさんも今描いている絵を、くみちょう先生のように大人になっても大切にとっておきましょうね~」
と言い出しました。
ええええええーっ。
ワタシ自分では全然きちんと保管できてないんですけど~。
親も~。
これ保管してくれたの小学校の先生だから~。
保管役はアナタとワタシかもですよ~。
なんだか心の美しいこの担任の先生は、ワタシのことを何だかとってもいいように誤解して下さっている様子。
まあ、いいか。
ゴッホにそっくりなワシの図工の先生に改めて感謝したのでした。
保管してくれてありがとう!
まめ(id:mane90)さんの「絵のような女」の記事を読んでいたら、ゴッホにソックリな先生のことを思い出してしまって書きました。