じゆうちょう。

日記です。観たもの、食べたもの、読んだもの、ほか。

バルテュス展(東京都美術館)

今回いつも以上に正直にぶっちゃけています。

腹立たしく思った方、怒りをコメント欄に書くなどという無駄な時間を過ごすことなく、すぐにこのページを閉じて下さい。

 

4月下旬、美術展が始まってわりとすぐの平日に行ってきました。

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そんな状況下のわりに思ったよりも人が入っててびっくり!

昔(1993年だったらしい)東京ステーションギャラリーでやったときは…確か土曜日に行ったんでまぁまぁ人が入っていたんでした。

あれ?意外と人気あるんでしょうか。

 

あまり知名度はないという勝手なイメージなんですが。

でも今回の展覧会、「称賛と誤解だらけの20世紀最後の巨匠」とか銘打たれてます。

誤解ってどんな誤解?特に聞いたことないけどなぁと思うワシ。

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実は特にそんなにすきではありません。

1993年の時行ったのは、大学の絵画の先生がやたら絶賛していたから「なら一応みてみっか」くらいの気持ちで。そのときは「ちょっと風景画はすきかもな」って思ったくらい。

今回も「どうしよっかな~」と思っていたら、たまたま格安チケットをみつけたので…「これもご縁?」と思ってみてきました。

 

バルテュスといえば、幼女…ちがった少女のちょっとエロい絵。

あ、それが“誤解”なの? いや、そこは事実。

 

今回会場の解説にも、最初の個展では、わざと話題になることを狙って少女のすっごくエロい肖像画を展示していたってなことが書いてありました。

セコさ突き抜けてるなぁと思ったけど、そうまで冷静に計算してメジャー化を狙ったってことは、そうした工夫がないと自分の絵で大きな評価は得られないと考えていたってわけで、つまりウヌボレの少ない謙虚な人とも言えるのかしら?なんて思ってみたりしました。

 

過去の展覧会では、少ない風景画以外はとにかく少女モノが印象に残り、「オクサマも“俗に若くみえるといわれる日本人”を選んだなんて…まさに単なるロリコン?」と思ったのですが。

今回、バルテュスがこの日本人のオクサマとご結婚後、かなり日本の美術や文化に興味をもち、自身の制作にもその影響を濃厚に反映させた作品がいくつか展示されており、「単なるロリコン心で日本にすりよってきた人ではなかったんですね。失礼しました」と思った次第です。

 

この日本美術の特性を取り入れた作品群はちょっとおもしろかったです。

薄っぺらく「日本の浮世絵の影響受けました~」って印象派あたりの画家のものよりも、もっと深い段階で日本美術を理解できているような印象を受けました。

って、なんて偉そうで失礼な印象…。すみません。

 

更に今回気が付いたのは、バルテュスが描く少女は「いわゆる日本のおたくが萌える“精神的に幼稚で扱いやすいだけの永遠の少女”」(←暴言!)ではなくて、「すでに大人の階段上り始めちゃって、精神的な成熟や強さを本人が求め出して移行し始めている少女」を描いているのだな~ということです。あ、でも、それはそれで“ツンデレ”として、おたくから支持されている少女? 

あ、いや、別に男性のおたくのすべてがロリコンだとは全然思っておりませんし(←あたりまえ)、ロリコンも法にふれない限り少女に被害を与えない限り妄想で遊ぶ範囲に止めていただいておるのなら勝手にしていてよいように思っております。

 

でもまぁ、やっぱり少女を描いたものよりも、やたらとマチエールに懲り、空気にとけこんでいくような中間色の穏やかな、それでいて豊かな色調で丹念に描かれた風景画の方が私はぐっと目をひかれました。

なんつーか、風景画の方が…構図とかはもちろんとっても計算尽くしなんでしょうけれど、描写が「理屈はおいておいて没頭して描きました」って感じがして、迫力があるような…。ま、個人的な印象なので受け止め方は人によるんだろうな~とも思いましたが。

 

ところで最近やたらと美術展会場に「アトリエ再現」!みたいなのがあって「なんのためにあるんだ?興味ないぞ」と思っていたんですが…今回もありました。

で、このアトリエを再現するにあたり、バルテュスのオクサマのお言葉が展示されてました。本心かどうかはナゾですが。

 

とりあえず、彼女は晩年バルテュスがトシくって弱ってきてから筆を洗うなどの作業の手伝いをするためアトリエに出入りするようになったそうで、その時アトリエに入った時に特別な空気を感じて非常に感動したようなんですね。

で、是非、絵を描いていたり作品鑑賞がすきな方々にもこのアトリエが醸し出す独特の緊張感や感動を味わってもらいたいと思って再現に協力をした、というようなことが書いてありました。(うーん、記憶で書いているので曖昧です。すみません。)

 

もしかしたら、私よりも素直で心清らかな多くの人々は、このバルテュスや他の画家の再現アトリエをみて、感動して「自分もがんばろう!」とか思っていたのか…。

そんなことを意図して美術展でアトリエは再現されていたのか…そうか…。

私の心は汚れているな…と思ってみました。

 

そんな己の汚さを自覚しつつ、トーハクへ移動して海北友松や若冲や宗達を眺め、アメリカンドッグをたべて帰途につきました。

この日の晩御飯は覚えていませんが、その翌日の晩御飯をなんの脈絡もないけれど思い出としてのっけておきます。

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私の頼んだのは、ざるそばと天丼セットですよ。いつもまにかオットがポテトフライまで頼んでいたのです。ちゃんと二人で食べましたよ。一人占めではありません。

ええ…おいしかったです。やっぱ、じゃがいもだな。