朝イチで上野で北斎展をみて、美味しい海鮮丼を食べた後、菱田春草展に行ってきました。
かばさん(id:kabakabatamanegi)が、重要文化財にもなっているかの有名な「黒き猫」は10/15からの限定公開だと教えて下さったので、カレンダーとにらめっこしながらこの日を待ち構えていました。(あ、でも15日は混むかと思って微妙に外しました。)
近美でメジャーな日本画家ということでゲキ混みを覚悟していましたが、運よく(?)早くお腹がすいた私と友人は早めのランチの後の「お昼時」に着いたせいか、覚悟よりも空いていてわりとみやすい状態で作品を楽しんでこれました。
菱田春草、記憶の中以上に地味な印象でした。
午前中の華のある北斎とのギャップが大きいせいでしょうか…いや、そんなことは関係なく非常にオトナシイと思います。
だが、好き。
むしろこの地味さがたまらなく好ましいと思いました。
途中、洋行を経て、部分的に洋画っぽい絵も描いていますが、でも地味。
春草がやってた「朦朧体」と呼ばれる描き方は、西洋絵画の影響を受けて色彩主体で筆線や筆さばきをなくしているんですけど、でも色調が地味なんですよねぇ。
この時代(春草は1874-1911に生きた人)の西洋絵画ってもっとハデなイメージなんですが。
いや、全然いいんですけども。
なんかもう、寂し気なんです。
これ(「武蔵野」)とか、
広々とした武蔵野にぽつんと小さな鳥…。
さらに鳥、ちっさ! ↓(「夕の森」)
でも、この鳥一羽一羽のシルエット、配置、すんげーリアルだなって感じました。
この人ものすごく観察して描いてるんだろうなって。
でもって、あえて森は朦朧と表現。ぐー。かっけー。
ま、群像とかもあるんですけどね、でも余白が寂し気だな~って何だか思ったり。
人物ひとりひとりの表情が本当に個々に豊かでおもしろいのであります。
そして動物にもすごく表情があるのね、と思いました。↓(「鹿」)
顔が…かわええ…。ちょっとビクビクしてそうな顔と姿勢。
木の高さが森の広さを感じさせて、そこにぽつんと心もとなくいる感じとかやわらかい色調とか、なんだか静かに寂しい感じ。
でも、鹿がかわいいので寂しさ軽減って感じ。
静かで穏やかで優しい世界って感じがしました。
春草の絵って生き物がすごくかわいいんですよ。木の枝にたくさんとまってるスズメとか、みんな違うポーズでそれぞれに雰囲気がある。
正直午前中にみた北斎が描く鳥とかはあまりかわいいと感じないんですが、私は。
北斎は画面構成とかテクニックでぐっと心を鷲掴みにされて、春草は構図色調描写がかもしだす空気にじわーっと気持ちを引き付けられるというか。
目玉になっている「黒き猫」もふんわりかわいい。↓
実は他にも猫はたくさんいたんですが、一番私が気に入った猫はこちらです。↓
ああ、これぞ猫背…。構えがかわいいぞ。
他、ほんとイロイロよかったんですけども、一番「ああああああーーーー。いい~」と思ったのは私の場合はこちらでした。↓「落葉[未完]」
(いや、未完だから感動したんじゃないですよ。そこへの感情は無関係に。)
葉っぱの描き方の繊細さがたまらなく好きです。
そんなこんなでテンション上がってしまって、ついついうっかり買っちゃいました。↓
黒き猫~。どこに付けるんでしょう? 黒リュック?
(おまけ)
先月末に行ってのせそびれていた刺身盛り合わせを唐突にのせます。
いや、少し関連があるのです。
春草の前にランチを食べた店に夜、行った時のものなのです。
正確には、左上にあるのは別扱いでのオーダーしか受けてもらえてないので、一緒に盛られているだけです。
とにかく非常に美味しくてジョウキゲンでした。
でへへ。