雪も月も花も「なんちゅーベタな…」と若い頃は思ったテーマだったような。
それがふらふらと吸い寄せられるようになるとは寄る年波とは面白いものでござります。
茶道具等の工芸品もたくさんありました。
昔は茶道部の友達にお茶会に呼ばれても「仕方ない。付き合いとしてたまには行くか…」なんて思って懐紙を忍ばせつつちょっと面倒くさい気持ちで参加した思い出ですが、近頃立派なお道具をみていると「なんだか楽しそうだな、お茶」なんて思う。
いや、美術館所蔵のお道具なんて使わないだろ、おい、と心の中でツッコんでみたり。
ざっくりとした味わいのオシャレな茶碗等をみていると何だかとっても心惹かれる。こんなの感じのでなんちゃってな作品でも自分で作ったのがおうちにあったら楽しそう。
で、「ああ…大学時代はあんなにたくさんサークルで陶芸をしていたのに、こういうの作ってみようと思わなかったんじゃい。そういや茶道部の友達が『お茶の道具作ってよ~』って散々言ってたじゃん。友達の言う事聞いとけよ~」と一人反省会。
で、ああ、また陶芸したいわね。友達の工房遊びに行く?でもあそこはちょっと遠いんだよな…。とかウダウダ考えてみたりする。
他にも贅を尽くした様々な工芸品が並んでいて「ああ…三井家のような昔のお金持ちの方々は、本当に素敵なモノを作るためにお金を出してあげたり、美しいものを大事に保管して残していったりしていたんですなぁ」なんて思ってみたり。
一部の金持ちだけが延々と金持ちなシステムというのはそれはそれで問題あるだろってことで財閥はなくなったんでしょうけれど、今はこんなふうに「才能ある作家にお金をたっぷり出して素晴らしい作品を作ってね」って出来るような金持ちはいるんでしょうか。金持ち業界にうんと縁が薄いのでわかりません。
現代の一代で大金持ちになった人もやっぱり美しいモノに囲まれたくて作家に支援したりするのかしら? それとも口のウマい画廊主とかのいいなりになって適当なモノを言われるがままに買っちゃたりするのかしら…とか自分と無縁の世界について妄想を繰り広げてきました。
ま、そんな妄想はさておき、一番の目的、今回の目玉、円山応挙の「雪松図屏風」をみました。
(チラシには右隻しか載ってなくて…。↓)
左隻も雪をかぶった松なんですが、もっとうねって複雑な枝ぶりで、この右のシンプルな造形とは対照的でなおステキと申しましょうか。
二つセットで本当によい作品でございました。
近くでみるとすっごくザックリとしたタッチで描かれているのに、遠ざかってみると物凄く繊細正確完璧に描かれている。
近くでの見え方と遠くからの見え方が驚愕するほど違っていました。
よく絵は離れてみた方が違ってみえて面白いとか言いますが、この作品の近くと遠くのギャップは信じがたいほど激しくて、「ぐお~」って声が出そう。
とりあえず正月ボケは吹き飛ぶぜって感じでした。
背景の色も本当に品があってゾクゾクするような素晴らしさ。
あ、あと、気になっていた酒井抱一のウサギちゃんもよかったです。↓
右上の月の位置、全体の構図もとても好き。
ステキな展示でしたが、惜しむらくは…
なんか小学生を連れた親子の団体が結構たくさんいて、やたらと親が子どもに指導してうるさかったということか…。
お絵かき教室とかなのかなぁ。
子ども決まった用紙に鉛筆で記入したり、気に入った絵を模写するように指示されてるようだった。
黙って好きな絵を決めて黙々と描いている子なんかは好ましいと思ったけれど、そんな子は一人くらいで、他の子はみんな「仕方なしに描いている」か「なんでもいいから簡単なヤツを描こうとして親がそのことに文句をつけて作品の前で子どもは作品に背を向けて親とケンカ」とか「親が指導者を気取って(指導者なの?)誘導尋問のように子どもにたくさん話しかけて鑑賞を促し言葉を矢継ぎ早に放出し続けていて非常にやかましかったり」ああ、それじゃ、子どもが自分の第一印象を大事にしたり最初に自分で思考するという大事な行為の邪魔をしているよ…とモヤモヤさせてもらえたり、とにかく迷惑な親がたくさんいたのが残念でございました。
美術館では黙って鑑賞させろよー。
子どもの方からどうしても話したいことがあれば小声で話すように指導してから連れてこいよー。
親と一緒に回るとどうしても子どもは偉そうに図々しい態度に出るのが多いんだから、親は離れて見守って子どもに正しい美術館での態度を教えてやれよー。
とか、もういろんな文句が頭をもたげてくるのが、なんだかな、って感じでした。
ホント親のエゴで興味がない子どもを美術館に連れてくるのはやめてほしい。
連れてくるなら他人の鑑賞の邪魔をしないマナーを教え込んでから連れてきてほしい。
最近はヘンな親が美術館には増えたなとしみじみと思う。
学校で引率されてきて生徒だけで鑑賞している子ども達はマナー違反をしているのはみかけない。かつ、なんだかんだ子ども同士で美術館内を歩いているだけでちょっと楽しそうな顔をしている。
この日の親子セットの子ども達の中には苦痛そうな子、親に必死に合わせている子がたくさんいた。んも~。