待ってましたの有栖川さん新作。
火村英生シリーズ13年ぶり書き下ろし長編。この一行でよだれでる。(ふきふき)
いつもなら一気に読んだことでしょう。
でもグループ展の絵も描き終わらず、6年ぶりにバレエの舞台に出ちゃおうかななんて血迷っていた私は「楽しく読書しとる場合か!」という心のツッコミが入りまくりで…電車やバスの中でちまちまと読みました。
でも、なかなかちまちまと読むのに適した本だった。
住まいとしていたホテルで自殺か他殺かわからない死に方をした謎に満ちた男、その謎が薄皮をはぐようにじわじわと一枚一枚めくられてゆっくりゆっくりとその正体が明らかになっていく。
そのあまりのじっくり度にフラストレーションがふつふつと増幅されていく中、終盤たたみかけるように大きく揺さぶられる展開をみせ、常に穏やかな語り手の有栖(←作者と同一人物設定にあらず)も声を荒げるし親友の探偵には酷く乱暴な口をきく。読んでるこっちは大興奮じゃい。
針の穴の隙間もないようなただ一面が重く硬い鉄で出来たような開かないはずの扉に、常人の目には見えないほどの小さな小さな穴を探偵が見つけ、すっと糸を通す。
かっけー。かっけーぞ。火村。
クレイジーなファッションセンスとか目をつぶるよ。
今回、事件関係者は年齢も職業もさまざまな人がたくさん出てきたけれど、みんななんだか「あ~こういう人いるよなぁ」としみじみと思った。って、それはつまり自分がいろんな人を厚みをもって知るようになった、トシくってきたって事なんだろうな、と思った。
過去のシリーズを読んだら、きっと昔読んだ時よりも「ああ、この人ってこういう人なんだな」ってなんだかリアルに感じる事ができるような気がする。
うう、過去のこのシリーズを読み返したい。
有栖と火村のお友達コンビのやりとりは所々笑えて楽しい。
ただ、気がついたら30半ばという二人の年齢を自分が追い越してしまっている事を思い出してちょっとショック。くそう、サザエさんワールドめ。
そのせいで、阪神淡路大震災の時の有栖の過去を振り返る描写がちょっと変な事になっていたけれど…(「朝まで原稿書いてた」って…この話は2015年設定だから…有栖は中学生では…?)目をつぶろう…。中学生でも徹夜で小説書いてたのかもしれないし。いや、有栖が処女作を書いたのは高校生の時に失恋した晩、って設定ではなかったかしら?ま、いいか。
一番衝撃だったのは、すっごく人がいいなって自分が思っていた有栖は自身を「人間嫌い」と称していたところだった。
そうか。そうだったのね。私ってやっぱり人のこと、わかっていないのねぇ…と思ったのでありました。
(無関係なおまけ)
ダイエット中なのに、昨日もとても美味しいヤツをもらった。
チーズタルト。
中がふっわふわ。ふっわふわ。(大事なことなので2回。)
猛烈に美味しかった。何事か?
今年一番、自分の好みのケーキだったような気がする。
買ってきたオットは「ちゃんと味見して、もう一つあったヤツじゃなくてこっちだって思ったんだ」って自慢げに語っていた。ぐっじょぶ!
(更に無関係なおまけ)
バレエの本番は超間近に迫っているというのに、今更、トウシューズの紐を縫い付け直した。
買った時に店でサービスで紐の縫い付けをやってくれるのだが、それはシューズの淵のとこにミシンで縫っているだけ。でも、ホントはもっと踵の近くから縫い付けたい。
こんな感じに(とても雑ですが)。
こうすると踵とシューズが離れなくてよい。
最初からこうすれば? いや、いつもはそーしてるんですけどね。コレ買った時は自分で縫ってる時間も惜しいくらいさっさと履いて慣らさなくちゃ!という事態だったので…。まぁよいのです。
少し前、本番をやる舞台で照明合わせがあったのでこのトウシューズで踊った…
ら、ありえないくらい(他の人々もそろって)トウシューズが真っ黒になった。
ぎゃー。
なんと、舞台全体にやたらめったら松ヤニ(←トウシューズの滑り止めとして、普通はちょこっと自分でつけて踊る)を舞台監督がまき散らしておいてくれたらしい。
この真実を知ったみんなは「ありがた迷惑とはこのことか」という顔をした。
「ガムテープである程度とれたよ」という話を聞いたので、やってみました。
うーん。いまいち。
ま、同じサイズ・マークのトウシューズを同時にもう一足買っていてそちらも順調に慣らしてあるので、この汚れたのは本番の予備。キレイな方で踊る予定です。
ああ…勇気を出して二足買っていてよかったよう…よかった。
今週のお題「今年買って良かったモノ」