じゆうちょう。

美術展やら食べた物やら気の向くままにかいてます。

オススメ作品を考える

あれはまだ、ジャイアンツの優勝が決まる前でした。あら、結構前。

薫(id:hana-kaoru)さまから、ワガ敬愛するミステリ作家・有栖川有栖さんの作品の中でオススメは?とたずねていただいたのです。あら、うれしい。

 

すきな作家の中のオススメをきかれるのってうれしいもんなのね、と知りました。

そーいや、友達と空いてる画廊や美術館に行くと、「どれが一番すき?」とか、「ベスト3を3位から発表」とかやります。けっこう盛り上がります。

 

最初に一番のお気に入り作品として頭に浮かんだ作品は、「双頭の悪魔」(東京創元推理文庫)でした。

この作品は、デビュー作である「月光ゲーム」に始まる学生アリスが主人公のシリーズの3作目にして、シリーズ…いや、有栖川さんの長編の最高傑作ではないか、という意見も多いどころか、平成の本格ミステリベスト10の調査をどっかの出版社がしたヤツでも入っていたと思います。(相変わらず、雑な記憶ですみません。)

 

私が理想とするというか大好物な設定てんこもりの作品です。

でも、ダメです。オススメにはできません。

 

だって、シリーズ3作目です。

1,2作目を読んでから読んでいただきたいと思うのが人情というものです。

でも、このシリーズ1作目の「月光ゲーム」…さすがのデビュー作…すんごい読みづらいです。

ミステリの構造としてはすきですが…文章が読みにくいです。登場人物も多すぎで頭混乱です。すすめられません。

 

3作目「双頭の悪魔」は長くて人もたくさん出てきますが、読みますいので、そこもよいなと思っています。

でも、ダメです。1,2作目を読んでから読んでいただきたいので、オススメ作品にすることはできません。

 

では、どうするか…。

 

一番お気に入りの中・短編の長さのものは「スイス時計の謎」(講談社文庫)です。

題名でピンとくるアナタはミステリ通。エラリィ・クイーンの国名シリーズを意識した有栖川さんの国名シリーズでございます。こちらは主人公が小説家アリスです。

 

(ちなみに学生アリスと小説家アリスと執筆者の有栖川さんは同一人物ではありません。学生アリスが書く小説の主人公が小説家アリスであり、小説家アリスが書く小説の主人公が学生アリス、という設定だったと思います。どこで読んだのかは…すみません、忘れました。)

 

表題作の「スイス時計の謎」は完璧なロジックです。うつくしいです。

あと30代半ばでおっさんになっちゃった主人公アリスの学生時代の顔が垣間みれるところがなんだかニヤニヤします。(あれ?やっぱりキャラ萌え派なのでしょうか?ま、いいです。)

 

冷静に考えるとこの「スイス時計の謎」をオススメするべきだな、と理性派キャラの私が考えている間、でも、最初に「ああ、この作家、すきだなぁ…」としみじみと思った作品は別にあったことを思い出してしまいました。

 

でも、全然大仰なミステリじゃないんです。

絶対に優れた短編ミステリとしても作品名はあがらないと思います。

 

「蝶々がはばたく」。

「ブラジル蝶の謎」(講談社文庫)に収録されています。作家アリスが主人公のシリーズです。

 

それまでも有栖川作品をたくさん読んできた上で思うのはヘンかもしれませんが、この話を読んだときに「ああ、だから自分は有栖川さんの作品がすきなんだなぁ。こういうところがすきなんだ」って、少しクリアになったのです。

 

「蝶々がはばたく」を読まれる場合、これ以上の一切の説明をナシに読んでいただきたいです。検索して感想とかもみないで!って感じです。って、自分の感想を言っておいてナンですが…。

 

えーと、結局…オススメは「ブラジル蝶の謎」ということになるのでしょうか。

国名シリーズ3作目、と中途半端ですみません。でも、作家アリスのシリーズは特に順番を問いません。

 

ちなみに学生アリスのシリーズにはゆるやかな登場人物の成長や変化が描かれているように思えるので、読まれる場合は刊行順どおりに…そしてその際、シリーズ2作目「孤島パズル」の文庫解説を読まないで3作目「双頭の悪魔」をお読み下さい。そうです。孤島パズルの解説内では双頭の悪魔のネタバレがあります。恐ろしい!!

 

あ~、結局ミステリとしての大好物とは違う作品をオススメにしてしまいました。

こんなんではミステリファンとは言えないぜ…と理性派キャラの方の私が申しております。

でも、別にそんなに立派なミステリファンではないのでよいかと思います。

 

でもなー、別に「蝶々がはばたく」、特になんとも思わない人もいると思うのです。(悪い意味ではなく。)

だから、すすめるのは少し勇気がいります。

有栖川さんが散々ガチガチな長編本格ミステリを書く様子をみてきた上で、この短編を読んだから、その落差に驚いた部分も当時あったのかな~とか、イロイロ考えてしまうわけです。

 

うーん。やっぱり無難に国名シリーズ1作目の「ロシア紅茶の謎」をオススメするべきなのかしら?

でもいろんな短編が入ってていいぞ!というイメージなのは「英国庭園の謎」の方です。

一番常識的にまず一冊…でオススメに入れるべきは「英国庭園の謎」なんじゃないの!?と理性派キャラの私が叫んでいます…。

 

ああ、すきな人について考え始めるととめどもなくなってしまうのだな、と気づきました。

そうそう有栖川さん、オクサマは小学校のときの同級生というトコロもなんだかすごい!

 

あれ? 結論はなんだったでしょう?

 

えーと、本屋さんで、「ブラジル蝶の謎」か「英国庭園の謎」、あった方でお願いいたしまする。

両方あった場合? 表紙でお選び下さい!

 

ああああああ、全然1つにしぼれていません! すみません!!!