行こうかどうしようか、うだうだ考えていたけど行った。
逡巡の理由は、「なんだかこの人の作品、そんな好きじゃないかも」という個人的主観。
「でも、とにかく広く認められてる事になってるんだから、『こういうのがメジャーなのね』って見るのもいいことなんじゃない?」という謎の心の声もする。
でも高いし行かなくていいかなって思っていたら、三宅氏(V6)が「行きました」ってラヂオで言っていて結構色づかいとかを絶賛していて、「うーん。アイドルも行っちゃうのかよ。オシャレ好き自慢のアイドルが色づかいをほめちゃうのか?」となんだか対抗心が芽生えてきて「やっぱみとくか?」と思い始めまして。
最終的に「どう?一緒に行かない?」って、午後から同じ場所へ行く用事がある絵描き友達を誘ったら「あ、それ、元々の狩野一信の『五百羅漢図』が出てるから行くつもりだった」って答えが返ってきて「あら、ソレみたいわね」って思って行くことに。
ちらし。↓
でかいです。↓
四神をテーマに4枚ある。
青龍が動きがあって構成的にはちょっとおもしろかった。
他は…うーん。特に…。
美大生を使っての分業作業ということで、指示資料も展示。
観終わった後に友人と「バイト代出るのかね?」「そりゃ出るでしょう」「いくらくらいなんだろうね。意外と『単位に代えます』とかだったりして」「それはそれでアリかもしれませんねぇ」とか下世話な話題も。
「それにしても『文化祭』っぽく感じた」に友人も頷いていた。
失礼な感想で恐縮です。
あといつもの感じの作品とか。↓
三宅さんが絶賛してた色づかいの良さは特にわかりませんでした。
いや、別に悪いとは思っていません。
あ…でも三宅さんは一応有名人だし、いろいろつながりもあるのかもしんないし、つーかラヂオを聞いてる中にも村上氏のファンや関係者はいるかもしれないし、「行きました」の後は褒め言葉を続けるのが無難というものか。(三宅さんは意外とそんな気をつかうタイプと予想。36歳だしね。)
いや、素直に作品の良さを感じて褒めてた可能性もあると思います。
どうでもよいか。
絵はどれもこれもマチエール(絵の凹凸)がなく、ぺたっとしていて、「なんだか『商品』っぽいな」と思った。
白地に黒で丸を大きく描いた、吉原治郎のパクリみたいな作品があるのですが、この黒い線が何だか非常にデザイン的。絵画的ではないように感じた。
なぜこう感じるのか、なかなか自分にとっておもしろい問題だと思いました。
村上氏の方の作品の白地にはいつものタイムボカン的なガイコツの凹凸が一面についている。あ、このシリーズに限り例外的にマチエールがあると言えますね。でも、そのマチエールがまた商品的。そこに美を生み出す『1/fのゆらぎ』はないように感じられる。
「コレがないと場がもたないって気が付いたのかしら」なんて、とても失礼なことを考える。
あ、そうか。
黒い線にも『1/fのゆらぎ』がないのかも。だから絵画的でないように感じたのかも。
常々、絵画というものは『作者により生み出された美』が内在しているべきだと個人的には思っており、要するそこには『1/fのゆらぎ』があって当然だと考えている。
そのゆらぎは、現実の自然界に存在するモノをそのまま描いてもよいだろうし、エッセンスを抽出した形で表してもよいだろうし、自然界の姿に強く寄らずに作者が生み出してもよいだろうと思っているのだけれど。
あー、そんなコト言って、村上さんの黒い線に『1/fのゆらぎ』が存在してたらすみません。
立体もありました。
うーん。
なんだか「作品」のように感じられない。
アニメのキャラクタのフィギュアみたい。
あ、アニメやフィギュアを下にみているわけではないですよ。
アニメーションという手法をとった芸術作品があることも理解しています。
フィギュアもちょっとだけ持っています。
アニメもどちらかと言えば好きな方かも。
とにかくまぁ、自分は村上氏の立体作品にはなんか心ひかれないんだな、って確認したって感じでした。
そして…なんだか、奈良美智の『あおもりけん』(←青森県立美術館にあるでかい犬の立体作品)を思い出した。
「ああ…『あおもりけん』は『作品』だよな」と思った。
『あおもりけん』にはいろんな感情を揺さぶられる。
天候によって見え方も違う。自分が現場でみた時の曇天の下のどこか哀しみをたたえたあおもりけん。友人が撮ってみせてくれた晴天の下で穏やかな笑みを浮かべたようなあおもりけん。また機会があれば見たいと思うあおもりけん。
そして奈良美智の絵は『絵画的だな』って思った。
なんで奈良美智が出て来ちゃったのか…単に村上氏と同時期に「メジャー」ってイメージで脳にインプットしたせいかも。
別に絵画的ではない平面に「色がきれい」とか「たのしい」とか心ひかれる人がいてもよいでしょう。
いやそもそも世界では村上氏の平面作品は多くの人に価値を認められているらしいので、心ひかれている人がたくさんいるらしいってことでした。
そういやかつて、村上氏とコラボしたヴィトンのバッグの中には自分も「お。これはかわいい」と思ったものもありました。商品として嫌いではない。好きなものもある。
グッズに出てたぬいぐるみももっとリーズナブルな価格だったら、ちょっとしたプレゼントに買ってみてもいいかなっていうくらい好感をもっております。
でもなー、この人の作品、やっぱ自分はそんなに好きではないんだな〜と思いました。
でもまー、なんかイロイロ考えられたんで、行ったのはよかったのかも。
あ、元々の狩野一信の『五百羅漢図』、すごくよかったです。
(おまけ)
フタの上には「大人のブレイク」ってありました。
美味しかったけど短くてちょびっとだった。
大人は食べ過ぎちゃダメってことか…。そうですね…。